るびりんブログ

鼻に風の当たる場所でなければ、頭がぼんやりしてしまって考えることができない。

税金のない国 ラコタ共和国

「アメリカ合州国」で2007年の暮れに、 「ラコタ共和国」が分離・独立し、新国家として新年を迎え、世界に承認を求めました。


1868年、ララミー砦で、アメリカ政府はスー族国家連合に対して、一帯を「スー族固有の土地」として保有を条約で確約しました。この条約はしかし、150年経た今でも履行されていません。これを履行せよというのがラコタ共和国です。


このアメリカ政府の対応は、ブッシュマンに定住を迫るボツワナや、ダムや資源採掘を優先して先住民の住処を奪うブラジルと同様、「自主独立」した生活を続けようとする人々を断乎拒否する現代社会の本音を告げていると私は考えます。つまり、私たちは徴税されながら生きることしかできないのです。


「自主独立」が許されないのは、現代社会には「支配者」がいるからに他なりません。私たちは、少なくとも民主主義の成熟を目指す社会に暮らしていると教え込まれています。
横浜市のサイトには次のように記述されています。

かつては国を統治する王など一部の権力者が、政治を思いのままに動かす「専制政治」を行っていましたが、やがて重い税金や厳しい労働に苦しんでいた民衆が立ち上がり、「国民の意思や、個人の人権を尊重してくれ!!」と主張しはじめます。そして、その主張は専制政治をうち破り、国民は多くの権利を獲得しました。

こうして国民の意志が尊重され、国民が権利を獲得したと教え込まれた私たちは、王や一部の権力者などいなくなったと考えています。しかし、 「覚醒」してみれば、ここに記された王や一部の権力者は敗者でしかなく、彼らに代わって支配者となった者たちがいることがわかります。


結局のところ、徴税機関があり、大規模な組織のあるところでは、私たちは「自主独立」できないと、人類史は示しています。


さて、ラコタ共和国に戻りましょう。
前述のページによるとラコタ共和国が150年前の条約の履行を迫った理由は、

「貧困率97%」「平均寿命44歳」が物語るように、条約締結から155年過ぎた今になっても、悲惨な生活は変わらず、これ以上、連邦に留まる意味がないと、独立を通告した。

 ということであるようです。


この説明を私は信じません。 ブッシュマンやピグミーは貧困でしょうか。ピダハンは平均寿命が短いからといって不幸でしょうか。むしろ、平均寿命が短い状態が正常なのではないでしょうか。実はこれらの理由は、どうでもいいことなのではないでしょうか。


注目したいのは、ラコタ共和国の国家政策です。(Wikipediaより)

国家政策としては税金の廃止中央政府による統制の廃止個々の小規模コミュニティがそれぞれ一つの自治体として運営される体制など、白人の侵略以前のインディアンの生活様式復古を主張している。

センス・オブ・ワンダーを探して』を読んで、体全体のことを知っている細胞はないという事実を確認し、『パンドラの種』などでヒトにとって適切な集団の最大サイズは150人であることを知り、人は国家を嫌っていたことを知った(『ゾミア』『グアヤキ年代記』)私が、提唱している、人が「自主独立」を維持できる唯一のあり方が、このラコタ共和国の国家政策に他なりません。


徴税は直接的なものにとどまらず、学費、ローン、光熱費なども支配者たちの仕組んだ徴税であり、経済発展や充実した医療を求める心に付け込んで、これらの徴税が課されているという事実にも気を付ける必要があります。
なにはともあれ、文明社会が徴税社会である限り、税金の廃止、中央政府による統制の廃止、小規模コミュニティを基本とすることは、「自主独立」のための必須条件であるはずなのです。