るびりんブログ

鼻に風の当たる場所でなければ、頭がぼんやりしてしまって考えることができない。

常識を疑う:動物と本能

名著紹介『猫になった山猫』―猫について語るなら読んでおきたい名著

書評『猫になった山猫


動物たちの生態は環境に応じて大きく変化するようです。


ライオンは、オスとメスが別々に暮らしていましたが、15年程前から産業の発展や人口増加に伴って生活環境が悪化したため、メスと子どもによる群れにオスが接近するようになったということです。(『サバンナの動物親子に学ぶ』63ページ)


そもそも群れを作ることのない猫科の中でライオンが群れを作るようになったのにも、理由があるといいます。

ライオンが「プライド」を形成した理由

ネコ科で唯一群れを形成するライオン。ライオンが群れを形成するようになったのは、ブチハイエナ、リカオンの存在が大きいといわれます。ブチハイエナやリカオンは基本群れで行動し、獲物を捕まえます。そして動物間でも争いが起きます。その時ライオン1頭では何十頭といるブチハイエナなどの群れには勝てません。それに対抗するためプライドという群れを作ったのではないかといわれています。

ライオンの生態|野生動物、絶滅動物の図鑑サイト/TOMORROW is LIVED



動物たち少なくとも哺乳動物の行動を理解するには、私たちと同じように思考力を使い、同じような感情を持って生きていると考えたほうがよさそうです。

キリストの本心―農耕を禁ず?

明日のことを思いわずらうな。空の鳥を見よ。彼らは種を蒔くことも刈り入れることも、納屋に貯めることもしないのに、神はよくしてくださるのだから。あなた方によくしてくださらないはずがあろうか?

『イシュマエル』220ページ

私たちが農耕を開始すれば、明日のことを思いわずらわなければならない日々が訪れる。あなたの植えた苗はあなたのものとなり、あなたの耕した土地はあなたのものとなり、土地を持たない者は飢えていく。


一面の水田は、異常気象が起きればとたんに飢饉に陥ることを示し、見渡す限りの畑は、野草もジビエも収穫できない土地を表す。


ノラネコを保護し去勢も避妊もせずに飼い続ければとめどなく増えることと同じことが、食料の生産と、「思いやり」の心によって発生し、侵略や環境破壊、住環境の悪化を招く。


イシュマエルもジョン・ゼルザンも何も突拍子もないことを言っているのではなく、『世界が人に属している』かのように農業に励み、命の尊さや思いやりばかりを真実であると思い込む私たち農耕民のあり方のほうが、突拍子もなく非現実的なあり方なのだ。


人類学の本を読まないことが人の目を曇らせている。


 

書評『イシュマエル―ヒトに、まだ希望はあるか

ベーシックインカムを考える社会と考えない社会

ベーシック・インカム(べーしっく・いんかむ)とは - コトバンク

就労や資産の有無にかかわらず、すべての個人に対して生活に最低限必要な所得を無条件に給付するという社会政策の構想。


一方その頃
名著紹介『虫はごちそう』:「ダシ」を味わう繊細さ

書評『虫はごちそう

アフリカは、訪れる前までとても遠い国だと思っていた。 暮らし方も、日本に暮らすぼくとは全然違うと思った。 けれども、料理のこだわり方やおいしさを楽しんだり、そしてモパニムシのダシを味わったりすることは、ぼくたちと同じようなんだなと思うようになった。 いや、彼らのほうがいろんな能力ではずっと優れていることが多い。 たとえば、野に出て火を起こす。 堅い木でやわらかい木を擦って、確実に火を起こすことができる。 言われてみれば、なんだそんなことって思うかもしれない。 あるいは、本当に原始人だって思うかもしれない。 けれども、どんな状況でもそこにあるもので工夫すること、その工夫に人間の創造力があふれている。 もっともっと自然に生きていくことを学んでいきたい。





私たちの生きる世界には、誰のものでもない土地が広がり、人々は簡単な小屋を建てて仮の住処とし、周囲の環境から食料その他必要なものすべてを得て暮らしていました。


明日の糧を心配する必要はなく、老いれば死んでいくだけであるという安心感を持って人々は暮していました。



季節を感じることも、食料を自ら調達することもほとんどなくなってしまった私たち。


ベーシックインカムという考えがどれほど馬鹿げた考えなのかを、虫を食べる人たちは教えてくれます。自然界の原則に従う以外に正解はなく、自然のなかで、自然の法則に従って生き・死んでいくことだけが人にとって可能な唯一のあり方なのであると、彼らは教えてくれます。