るびりんブログ

鼻に風の当たる場所でなければ、頭がぼんやりしてしまって考えることができない。

生きものに学ぶ

獲物を狙う動物は距離感をつかみやすい前方を向いた目をしている。
狙われる側の動物は、全体を見通しやすい横向きの目をしている。


猫は小型の獲物を狙うことで小さい縄張りがあれば生きていける。
ライオンは大型の獲物を狙わなければ費やす体力とつりあいが採れず、大きな縄張りが必要である。


草食動物たちは、少ない子どもをできるだけ大きくしてから産み、しかも産む時期を合わせることで、肉食獣の餌食になりにくくなっている。
肉食獣たちは、多くの子どもを産むことで、狩りに失敗して数匹が命を落としても問題ないようになっている。


草食動物たちは栄養価の低い食べものを食べるために、多くの時間を食事と消化に費やすことになり、重い胃を抱えて機動性も犠牲にしている。
肉食動物たちは食後に十分休息をとらなければ肉を消化できない。


ヒトやインコは未熟な子を産んで育てるために子育てに協力的なオスほど子孫を残しやすくなっている。
多くの草食動物やニワトリ、チンパンジーなどは、子育てにオスの参加を必要とせず、したがって、一頭のオスが多くのメスに子を産ませることができる。


毒性の強すぎるウイルスはあっという間に姿を消して、毒性の薄い子孫が繁栄する。


地面を覆い尽くすほど葉を茂らせる植物は、大地をやせさせてしまい、成功することができない。


険しい崖や乾燥地帯、寒冷地は、敵の少ない楽園であるが、それは厳しい環境に適応できる動物にとってのみである。


太陽の恵みが多く、温度も高い熱帯地方は、逆に激しい競争の場所でもあり、人も寄生虫や病原菌に苦しめられる。しかし、そんな場所でも平気に暮らせるように適応していくのもまた生きものである。


すべての個体はすこしずつ違う個性を持ち、個性が違うことで、新しい可能性を開いている。今は、群れで暮らす動物がやがて一頭ずつ暮らすようになることもあれば、成熟した子ではなく未熟な子を産むようになることもありえる。産む子の数が変わることだってある。


私たちはいのちの網の一本の糸でしかなく、この糸は常に変り続けるものであり、一本の糸で網を織ることもできないのである。


生きものが教えてくれるのは、一人勝ちのできない世界に適応した生命だけが続いていくという事実であり、適応するとは犠牲を払うことでもあるという事実である。


ヒトは言葉を持ち、言葉に頼りすぎて事実に注目することをないがしろにするうえに、都合のよい幻想を事実であると思い込みたい性質も持ち合わせているせいで、昔の人々はしっていた、このような生きものの法則を忘れてしまいがちなのだ。