るびりんブログ

鼻に風の当たる場所でなければ、頭がぼんやりしてしまって考えることができない。

いなかぐらし

10年以上前、東京から実家付近の町に引っ越しをした。
田舎は都会のスマートさを演出するためのしわよせがぎっしり詰まった場所だった。


遠くに本社を置く大会社が経営する工場からは、
どうみても垂れ流しに見える廃液が川に流されている。
煙突から悪臭のする煙を流し続ける、同じく大会社の工場がある。


山に行けば不燃ゴミの廃棄場がある。
もう少し町に近づけば、ゴミ焼却場ができている。


河原に降りていけば、生活排水の臭いが強く、
山には不法投棄が溢れている。


地元の会社は下請け、孫請けとしてしか関わることのできない
大土木工事が大会社の名前で繰り返される。


大学も大企業もない田舎町で暮らし続けて、
良い収入を得ることは難しい。


自立できる財政の得られない自治体で
自治を実現することは不可能である。


都会に暮らし、よく整備された都心に勤めるエリートたちのために、
地方都市がしわよせを喰うのは原発や基地だけではなかった。


参考文献
逝きし世の面影』:一人の農民の反対を尊重した殿様
平等と不平等をめぐる人類学的研究』:総有という概念
世界システム論講義』:基本的人権の思想や自由・平等が世界侵略のためのお題目でしかないことを指摘